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名古屋高等裁判所 昭和46年(行コ)28号 判決

控訴人(原告) 渡久地政司

被控訴人(被告) 佐藤保

主文

原判決主文第二項を次のとおり変更する。

原判決添付別紙一番号1ないし4、8、13、14、19ないし30の事項に関する訴を却下する。

控訴人のその余の請求を棄却する。

訴訟費用中第一審の訴訟費用は八分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の各負担とし、控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決中控訴人敗訴部分を取消す。被控訴人は豊田市に対し、金一五万〇二三〇円およびこれに対する昭和四二年四月二日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張ならびに証拠関係は、つぎに付加訂正するほかは原判決事実摘示記載のとおりであるから、これをここに引用する。

一、原判決三枚目表二行目の「別表一記載」のつぎに、「(但し、番号欄記載の9、10を除く。以下同じ。)」と加入し、同三行目および七枚目裏五行目の各「一七万五、九八五円」とあるのを、いずれも「一五万〇二三〇円」と、同四枚目裏八行目および同五枚目表一行目の各「公祖」とあるのをいずれも「公租」と各訂正し、同七枚目裏六行目の「翌日」のつぎに、「である昭和四二年四月二日」を加え、九枚目裏三行目の「他方」とあるのを、「地方」と訂正し、一〇枚目表四行目の「9ないし」を削除して「11、」を加え、同裏八行目「別表二記載」のつぎに、「(但し、番号欄記載の9、10を除く。以下同じ。)」を加える。

二、控訴代理人の主張

豊田市処務規程は、行政庁の長としての豊田市長が、その職員に対し職務命令として発した訓令で、いわば市長自らの判断に基づき定めた実務処理の内部的基準にすぎず、これは、住民意思の発現の場である市議会の承認を受けておらないばかりか、住民の承認を直接的に受けていないから、本件のごとく住民が民衆訴訟の当事者となる場合に右規程に拘束されるいわれはなく、右規程をもつて、被控訴人の本件公金違法支出等の責任が免除されるものでもない。

三、被控訴代理人の反論

豊田市処務規程は昭和三六年九月三〇日に制定されたものであるが、これは豊田市長が、法律、条例等の範囲内で、組織上の細目や事務処理手続その他事務処理上必要な事項を定めたもので、必ずしも公布を要するものではなかつたけれども、豊田市においては、そのころ、条例、規則と同様、住民にこれを公表している。

四、証拠関係〈省略〉

理由

当裁判所は原判決添付別紙一番号1ないし4、8、13、14、19ないし30の事項に関する訴は不適法としてこれを却下し、右別紙一番号5ないし7、11、12、15ないし18の事項に関する請求は失当としてこれを棄却すべきものと判断する。

その理由は、原判決一九枚目裏五行目から六行目にかけて「第一三号証ならびに証人加藤隆の証言」とあるのを、「第一三号証の一、乙第一九号証ならびに原審における証人加藤隆、当審における証人坂本春男の各証言」と、同八、九行目全部を、「(1)豊田市においては、本件公金支出前たる昭和三六年九月三〇日「豊田市処務規程」が公布され、同規程はそのころ、同市公告式条例(乙第一九号証)に基づき、同市役所の掲示板に掲示して公表されており、その内容は次のとおりである。」と各訂正し、同二二枚目表末行の「関与した」の次に、「か、あるいは、受任専決者に対する指揮、監督に、故意又は重大な過失がある」を加え、同二三枚目表六行目の「あるから、」の次に、「他に被控訴人が豊田市長として、右助役あるいは総務部長に対する指揮監督上に、故意又は重大な過失があつたと認められる証拠のない本件においては、」を加え、同表末行の「既に」以下同裏一行目全部を削除して「当事者適格を欠く被控訴人に対してなした控訴人の右訴は訴訟要件を欠くから却下を免れないものというべきである。」を加え、同裏二行目および八行目から九行目にかけて各「9ないし」とあるのを削除し、いずれも「11、」を加え、同裏末行の「第五号証」を削除し、「第六号証の二、」の次に「第七号証の二」を加え、同二四枚目表二行目の「証に」の次に「原審における」を加え、同二五枚目一行目の「番号の」以下同二行目「監査であり、」までを削除し、同表五行目の「9ないし」を削除して「11、」を加え、同二六枚目表二行目の「末だ」とあるのを「未だ」と、同末行の「いる」を「いた」と各訂正し、同裏四行目の「来す現状」以下七行目「綜合すれば、」までを、「来す虞れがあると感得していたこと、従つて、その責任の一半は、かかる接待を受ける国家公務員の側にもあるやに窺えること、本件公金支出の内容、金額等を合せ考えれば、」と訂正し、同裏一〇行目以下二八枚目表二行目まで全部を削除するほかは、原判決理由記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

よつて原判決主文第二項を右趣旨に従い変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、九二条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 岡本元夫 柏木賢吉 菅本宣太郎)

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